光学素子

ガイダンス

光学用結晶材料

結晶材料の中にはガラス材料では実現できない非常に優れた光学特性を示すものがあります。
一方で、結晶の中には潮解性や複屈折特性など、光学素子には不向きな性質もあります。
これら特性を総合的に評価して、光学素子として有用な結晶材料が使用されています。

光学窓材料

Optical Window Materials 結晶材料の屈折率比較表(参考データ) 結晶材料の屈折率比較表
フッ化カルシウム CaF2

天然の鉱石は蛍石と呼ばれ、ごく稀に紫外線を照射すると蛍光を発するものがあります。人工的に作られたものは、高級カメラレンズや分光器のビームスプリッターなどに使用されています。
光学的な特性は真空紫外から赤外の広い範囲で透過率が高く、通常の光学ガラスより屈折率の分散が小さく、分散曲線が異なっていること(異常部分分散)から、色消しレンズを設計する上で、大きなメリットがあります。結晶構造が等方性なので、複屈折は生じません。
化学的にも比較的に安定していて、潮解性が比較的低いため、フッ化リチウムやフッ化マグネシウムより一般的に利用されています。

サファイア AI2O3

ダイアモンドの次に硬い鉱物で、傷が付き難い結晶です。昔から腕時計の窓ガラスや歯車の軸や軸受けに良く使用されています。サファイアガラスと呼ばれることがありますが、構造はガラス質ではなく結晶構造です。
化学的に非常に安定しているので、ガラスの代替品として使われることもあります。人工的に製作したものは無色透明で、紫外から赤外の広い範囲で透過します。1軸性の結晶なので、結晶の向きによっては複屈折が生じます。絶縁性が良いにもかかわらず、比較的、熱伝導が高い性質を持っています。
超短パルスレーザの励起媒質のチタンサファイア(Ti:sapphire)結晶や紫LEDを成長させる基板として使用されています。

ジンクセレン ZnSe

べっ甲色をした結晶で、長波長域は20µmの赤外線域まで透過することができます。しかし、可視域の青・緑は透過しません。
CO2レーザのレンズ材料としてよく使用されています。CO2レーザのガイド光として赤色のレーザが使用されることがありますが、ジンクセレンはこのガイド光をCO2レーザと一緒に透過させることができます。法律上の毒物劇薬物に区分されており、一部の製品では毒物劇物譲受書の受け渡しが必要です。また、使用済みになったジンクセレン製品は一般廃棄が禁止されています。不要になったジンクセレン製品は購入元に返却しなければなりません。
水には不溶性ですが、酸と反応して有毒のセレン化水素が発生することがあります。屈折率が高いので、表面反射率による透過損失が大きくなりますが、反射防止コートを付けることで、99%以上の透過率が得ることができます。

シリコン Si

半導体で使用されるシリコンの単結晶で、見た目は金属光沢をしていて光を透過しませんが、波長2~6µmまで赤外光を透過します。赤外線検出器のフィルターとしても使用することができます。また、熱伝導率が良いことから高出力のCO2レーザに使用される金コートミラーの基板としても使用されることがあります。

ゲルマニウム Ge

見た目は金属光沢をしていて光を透過しませんが、2~20µmの広い赤外域で透過します。サーモグラフィーカメラのレンズの材料として使用されています。屈折率が4と高いので反射防止膜コートなしで使用すると、表面反射による透過損失が大きく、透過率が50%を下回ってしまいます。

注意
  • 赤外透過材料は透過、反射以外に、温度による輻射スペクトルの影響を考慮する必要があります。
    波長10µm以上の赤外を観察する場合や光学系が30℃以上の環境で使用する場合、全ての物質から赤外の輻射光が放射され、被検体の赤外スペクトルを正しく観測できなくなります。

複屈折材料

結晶には等方性と異方性の結晶があり、異方性の結晶では複屈折が生じます。
異方性の中でも1軸性の結晶は、波長板や偏光子などの偏光光学素子として利用されています。

水晶 SiO2

不純物のない石英の結晶で、1軸結晶(三方晶)で僅かな複屈折性を示します。
水晶発振器やCCD撮像素子のローパスフィルター用として、人工結晶が大量生産されています。
常光線(no)と異常光線(ne)の僅かな屈折率差を利用して波長板が作られています

波長〔nm〕 屈折率
常光線 no 異常光線 ne
404.7 1.5572 1.5667
546.1 1.5462 1.5553
589.3 1.5443 1.5534
656.3 1.5419 1.5509
透過波長域〔µm〕 0.2 - 2
密度〔g/cm3 2.65
熱伝導度〔W・m-1K-1〕(70℃) 9.3/5.4
熱膨張率〔×10-6/℃〕(20℃) 6.8/12.2
理科年表より
方解石 CaCO3

カルサイト(calcite)とも呼ばれ、天然によく産出される無色透明な鉱石です。
1軸性(三方晶)の結晶で、たいへん大きな複屈折を示します。
常光線(no)と異常光線(ne)の屈折率差を利用して、消光比性能が高いグラントムソン偏光子が作られています。
硬度がやわらかいので、たいへん傷が付きやすい結晶です。

※天然の鉱石のため、透過率特性に個体差があります。

※天然の鉱石のため、透過率特性に個体差があります。
波長〔nm〕 屈折率
常光線 no 異常光線 ne
404.7 1.6813 1.4969
546.1 1.6616 1.4879
589.3 1.6584 1.4864
656.3 1.6544 1.4846
透過波長域〔µm〕 0.35 - 2.3*
密度〔g/cm3 2.71
熱伝導度〔W・m-1K-1〕(0℃) 5.39/4.51
熱膨張率〔×10-6/℃〕(0~80℃) 26.3/5.44
理科年表より

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